1992年5月掲載 神戸新聞     9/16        


フラメンコの”高峰”

エル・グイトが来神

月末に阿藤久子と共演

現代スペインにフラメンコの黄金期を築い
た三巨峰の一人、エル・グイトが来日、
今月末の神戸公演を皮切りに東京、大阪
でそのハードタッチな”魂の踊り”を披露
する。神戸を拠点に意欲的なステージ活
動を続けている阿藤久子との共演が実現
したもので、天才ギタリストといわれるアグ
スティン・カルボネル”エル・ボラ”も帯同、
重厚な舞台が味わえそうである。

 エル・グイトはマドリード生まれで、生粋
のジプシー。早くも7歳で舞台に立ち、スペ
イン国立バレエやマドリードスペイン舞踊
団で第一舞踊手を歴任。とりわけ1983年
には国民的詩人のロルカの「アマルゴ」を
もとに劇場向けのフラメンコを振り付けし、
これが国際フェスティバルの最高賞とな
った。

 「動」と「静」のけんらんたる綾(あや)を
見せるフラメンコだが、エル・グイトはなか
んずく「静」の表現に卓抜なフィーリングを
持つといわれ、それだけに能楽の伝統に
なじんできた日本人には共感の土壌も深
いかもしれない。


 時流に流されることなく、フラメンコの神髄を極めて
シンプルな形で継承しているという点でも、重要な芸術
家の一人である。フラメンコの母とも呼ばれる「ソレア」、
オールドファンにはその四拍子のリズムが懐かしい
「ファルーカ」などが披露される予定。
 同じ舞台を踏む阿藤久子は、本格的なフラメンコとの
交流を図るため、五年前からスペインのダンサーらと
全国ツアーを展開。

これまでにアントニオ・マルケス、ホアキン
・ルイス、マノレーテらと共演を重ねてき
た。今日のフラメンコブームを先取りしたプ
ログラムだったともいえるだろう。
 公演日程は、新神戸オリエンタル劇場
が29日、30日、31日の3日間。その後、6月
1日東京・ヤクルトホール、同3日大阪・フェ
スティバルリサイタルホール、同11日東京
・スパイラルホール、同15日大阪・近鉄小
劇場の4会場で行われる。


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