阿藤久子フラメンコスタジオ
●2005田路真由美フラメンココンサート
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ご挨拶

田路真由美

  
 先日の『フラメンココンサート』に際しまして、両公演共にたくさんの方にご来場頂き無事終えることが出来ました。これも皆様の温かいご支援があってのことと心より感謝しております。

昨年の12月より会場押さえに始まり、この公演の企画を進めて参りました。
今回共演させて頂いたマヌエルとは、過去にただ1度、1ヶ月間だけ彼のクラスを受講したのみで、レッスン以外の彼の人柄など何も分かっていませんでした。本当に直感だけで彼に出演依頼を申し込みました。自分でも不思議でしたが彼以外候補を挙げることが出来ず、もしマヌエルに断られた場合、どうしたらよいか全く考えられませんでした。きっと彼の方も不安だったと思います。よく知らない日本人からの公演依頼なんて!。出演依頼を受けて頂けた時の私の喜びは相当なものでした。

6月に1ヶ月間マヌエルと初めてのパレハ練習。自分に無い体の使い方に戸惑いだらけでした。そんな中、私にとって驚愕の嬉しい知らせがマヌエルよりありました。
「カンテが決まったよ。ラファエル・デ・ウトレラだよ。」

私はもうどう表現してよいのか分からない程の歓びでした。初めて(97年)スペイン留学をした時、彼の声に痺れ、憧れ続けていたのです。そんな人が私に歌ってくれる!。彼に歌ってもらえたら!そんな夢のような事を考えたこともありましたが、まさかファーストコンサートで叶ってしまうなんて。

11月に再度打ち合わせに2週間スペインへ。今度はあまりに残された課題が多く、対し残された時間が余りに少ないことに改めて気付かされ、強い不安や焦燥感が日々押し寄せるようになりました。マヌエルは自分のレッスンも含め、毎日朝の9時頃から夜7時頃まで一歩もスタジオから出ることなく、この公演練習に取り組んでくれました。その真剣さや熱意・体力に今まで抱いていたスペイン人に対する私の考えが間違えだったと感じました。ラファエル・インマ・へススらとも対面し、彼らとならば安心だと感じました。

12月9日、アーティストの来日。一人で練習することに限界を感じていた私にとって、彼らを空港で見つけた時はとても温かいものを感じ「やっと来てくれた。もう大丈夫だ。」と、とても安心しましたが、また違った不安もありました。阿藤先生・ぺぺさんを始め舞踊団メンバーは初対面で、勿論信頼関係もない。『彼らなら大丈夫だ』とは思っていても、自分が選んだアーティスト達を気に入ってもらえるだろうか?なにか問題は起こらないだろうか? 

しかし来日後の彼らの取り組みを見、誰もが彼らを信頼し、また私の不安の種など来日半日にして吹き飛びました。彼らのプロ意識の高さは勿論、毎日早朝から長時間に及ぶ練習に私達は脱帽しました。『日本人相手だから!』などと考えるのは私の卑屈な考えであったと思い知らされました。

 本番までの1週間、彼らに支えに支えられ、これ以上無いくらい信頼感が高まりました。本番ソロでは後ろから、パレハでは隣りから、とても温かい空気がずっと私を包み込んでくれていました。

 彼らに出会い、そして同じ舞台に立てたことは私の一生の宝になるでしょう。
また今回の舞台では、プログラムに書かせて頂いた「フラメンコの階段が更に長く、最上階がとてつもなく高い」と深く感じさせられ、そして今後の自分への課題が明確なものになりました。メインであることへのプレッシャーと、全てが初めてで至らぬことも多々有りましたが、またこのような機会に恵まれますよう、これらも努力致しますので、厳しくご指導の程宜しくお願いいたします。

 また今回、阿藤先生、ぺぺさんを始め舞台スタッフの皆様、スタジオ会員の皆様、舞台団のメンバー、ご来場下さった方、本当に多くの皆様に支えて頂いたお陰でこの舞台が実現できました。直接ご挨拶出来なかった大勢の方々に、この場をお借りして心よりお礼を申し上げます。
本当に感謝いたしております。ありがとうございました。

田路真由美